






↑二階廊下の火鉢。飾りじゃなく、本気の暖房器具。
※写真はすべて、初回(2003年2月)に宿泊した時のもの。
現在はかなり雰囲気が変わっています。 |
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きっかけは、テレビの温泉番組。
宿の施設よりも、ふぐ料理があまりにもおいしそうで
のけぞった私たちは、番組が終わるのも待てずに
予約の電話を入れました。
行ってみたら、なにしろいろんな意味でこってり味のある宿で、
*ふぐが期待以上のおいしさ
*中居さんが素朴で親切で面白い
*可愛い猫がいる
*部屋もとっても居心地がいい
とあって、以降、ダンナの誕生日月の1月に行くのが恒例となり
これまで4回宿泊しました。
(伊豆・箱根方面以外でここまでリピしているのは、ここだけです)
←宿の玄関。ご覧のとおり昨今のおしゃれ系旅館とは真逆の、おじいちゃんの家に遊びに来たようなタイムトリップ感。
しかも、狙って作り込んだいやらしさがないのがいいです(だってリアルに古いんだから)。
←玄関を入ってすぐがお茶の間というか帳場というか。
ここでお茶を出されて、奥の部屋に案内されました。
普通のうちみたいで、逆に新鮮でした.。
以下は、宿の方からうかがったお話です。

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宿は昭和元年に立てられた建物で、化粧品会社勤務のサラリーマンだったご主人が平成9年に親から継いだ時は、幽霊屋敷のようだったとか。
その年の年間(一年、ですよ)の宿泊客はたった5人で、
しかもその5人全員が「なんじゃこれゃあ!」と激怒して帰ったそうです(あまりにもボロくて)。
だけど、廃業するにもご主人の愛着が強すぎてできず。
せめて、「スリッパをはかないで廊下を歩ける宿にしたい」と思って、
洗剤が使えないほど古い木材の廊下を、1枚1枚、
ご主人自ら重曹で拭いて米ぬかでツヤを出して、
館内すべての床を、いやというほど磨きぬいたのだそうです。
「お金はないけど暇はあったので」。
そしてお金が工面できると蛍光灯を電球に変え、壁を塗り…
とリフォームしていくうち
「この間の抜けた古さがいい(ご主人談)といってくれるお客様が、口こみでいらっしゃるようになった」。
とのことです。
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このお話、本当に感動しました。「磨く」ことに思いをこめたからこそ、これだけ古くても不潔感がまったくないんだということがわかりました。
私が好きなのは、中居さんたちの素朴な人柄。
年配の方が多いのですが地元の方たちらしく、素朴で気取らず、明るく親切。
食事の時に日本酒を注文したら、やけにこそこそ持ってくるのでどうしたのかと思ったら
「このお酒あとちょっとしか残ってないから、
ただでいいわ。板場にはヒミツ」
あと、朝食の時にかわいい足袋をはいているのをほめたら、足袋自慢が止まらなくなった若い中居さんとか…
なんか、そういうゆるさがたまらなく居心地よかったんです。
でも「ちょっとずつリフォーム」スタイルは人気宿となった後も続いていて、泊まるたびにフロントや館内がどんどん変わっていました。
お茶の間風だった帳場はカフェ風になり
4年目にはとうとう、人気建築家によるデザイナーズ旅館風別館までできて(以下「NEW ROOM]の項参照)。
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